もう夏なんですね。
この間昼間外に出たらほんの30分くらいだったのにばてました。
ちゃんと水分補給をしてたはずなのに…
これで夏本番はどうなるんだか、家に引きこもってそうですよ。
夏は嫌い、冬生まれだけど冬も嫌いだしね。
早く秋にならないかな(早すぎ
では続きより『餌付け』
そいつは朝、遅刻ギリギリで教室に飛び込んで、1限目の体育が終わった後からずっとあたしの前の席で死んだように机に伏せている。谷口たちが声を掛けていたけれど力なく答えるだけだった。
もしかして具合でも悪いのかしら? 体育のときももの凄く辛そうに、ふらふらしながら走ってたし。
あたしは何かあったのかと不安に思ってキョンに声を掛けようとした。けれどそのとき。
ぐるぐるぐる……
気が抜けるような腹の虫が鳴く音が聞こえた、後ろの席まではっきり聞こえるってどうなのよ、まったく。あたしはがっくりと項垂れさっきまで優しく声を掛けようとしていたのも忘れ、普段どおりに背中をつついた。
「……なんだ」
キョンはゆっくり振り返るとそう言った、けれど声に覇気が感じられない。元々キョンのやる気のある声なんかほとんど聞いたことがないけれど、今日のは一層ひどい。ついでに振り返ると同時にもう一度ぐー、と鳴った。
「ねえキョン、そんなにお腹が減ってるなら早くご飯食べたらどうなの? さっきからぐるぐるうるさいわよ」
もう昼休みに入っていて教室のそこここで友達とお弁当を広げている、あたしも早く学食に行かなきゃね。けれどキョンは少し顔を顰めると、
「俺だってそう思うさ、腹が減ったら飯を食う、シャミセンだって出来ることだ。けど俺にはそうできない理由があるんだよ」
額を机に擦りつけながら言うのだが、声がこもって聞き取りにくい。けれどその様子を見る限り思い当たるのはたった一つだ。
「ははん、どうせお弁当忘れたって言うんでしょ」
「……正解。ついでに言うなら寝坊したから朝飯抜き、さらに最悪なことに財布はあるのに中身は、確か13円だったかな?」
それにプラスしてあの坂を急いできて、体育の授業はマラソン。ついてない日はついてないことが続くものね、あたしはひとつため息をついて席を立った。
「そ、大変ね。でもせいぜい頑張って頂戴、あたしは学食行くから」
「なぁハルヒ、少しくらい恵んでくれよ。俺の財布がこんなに空なのは毎週お前らに奢ってるからなんだぞ」
「それはあんたが一番最後に来るから当たり前でしょ」
そう言うとキョンはじとっとあたしを睨みつけた、けれどそう見られてもそんなに怖くないわよ、だってキョンだもの。
「いくら睨んでもあげないものはあげないわよ、じゃね」
学食に来たものの、今日はなんだがあれを食べたい! って気にならないのよね。仕方なくパンをいくつか購入して買った、これだけあれば十分でしょってぐらいに買い込んで教室に戻る。どうせなら教室で死んでた奴にも少し恵んであげましょうかしら。
けれどさっきまで机にへばりついていた奴の姿がない、一体どこに行ったのかしら。ちょうど近くにいた谷口に聞いてみた。キョンがどこに行ったか知らない?
「キョン? あいつなら弁当がなくって腹鳴らしながら俺のを覗き込んでてさ、鬱陶しかったから追い払ったぞ」
「そしたら人のいないところにいくって言ってたかな? 行き先なら涼宮さんの方が分かるんじゃない?」
どうやら谷口にも国木田にも見捨てられたみたい、まあ一番最初に見捨てたのはあたしだけどさ。
いいわ、人のいないところ、ね。
中庭にはいないみたいで部室は有希がいる可能性が高い、となると屋上とかかしら?
そう考えるとあたしはすぐに屋上へと向かった、ちょっと急ぎ足になったのは気のせいね。
屋上へのドアを開けると風が吹いていて気持ちよかった、探してたそいつはあっさり見つかった、柵に持たれかかって寝ているみたい。相変わらずお腹はぐうぐうとひっきりなしに鳴いてるみたいだけど。
あたしはキョンの隣にしゃがみ込んで、ほっぺをつついたりつねったりしてみた。みくるちゃんのとかだったらよく触るけどキョンのはあんまりない。それにしても意外と柔らかいわね、男の人でもこんなに柔らかいものなのね。
さわさわと撫でているとぐー、とお腹を鳴らしながらキョンがあたしを睨むように見上げていた。寝ているところを邪魔したからかしら? それにしても
「あんたへばりすぎよ」
あたしが呆れたように言うとキョンはまたぐーっと音を立てて、ふて腐れたようにそっぽを向いた。
「しかたねぇだろ。どうせお前にこの苦しみがわかるわけねぇんだよ」
「分かりたくもないけどね」
「さっさと教室に戻れよ、俺は午後の授業はサボる、ここで寝るからな」
「サボるなんてそんなことあたしが許すと思う?」
「ふん」
ぐーっとまたお腹を鳴らしてキョンはまたそっぽを向いた。
やれやれ、ね。
あたしはキョンを無視してパンの袋を開けた。びりっとわりかし大きめな音がして、気が付くとキョンがじっとあたしを見ていた、けれどその表情はどこか厳しい。
「……お前は一体ここに何しに来たんだよ」
「ん? お昼を食べようかと思って」
「学食で食えばよかっただろ、パンなら教室でも――」
「もうひとつ、誰かさんに餌付けでもしようかなってね」
そう言ってまだ袋を開けていないパンをキョンの顔の前で軽く揺らしてキョンの上に落とした、一瞬ぽかんとしたあと分かりやすいほど表情が変わる。
けれど怪訝そうな表情はあたしを警戒してるみたい、何だか犬みたいね。
そうだ、今度のみくるちゃんのコスプレはネコミミね。ネコミミメイドとか萌えるでしょ。そんなことを考えてるとキョンが怪訝そうなまんまで聞いてきた。
「……くれるのか?」
「そうよ、いらないなら返してもらうけど」
そう言って奪い取ろうと手を伸ばしたけれど、すぐさまキョンはあたしが届かないように手を上げると慌てたようにかぶりついた。がつがつと呆れるくらい貪るようにして、すぐにひとつ目を食べ終えた。
「……呆れた、本当にお腹減ってたみたいね」
「そりゃな。ふー、多少マシになったよ、助かった」
「そ、良かったわね」
返事を返してあたしもひとつ目を食べるんだけど、横から突き刺さるキョンの視線が痛い。
チラッと見ると、なんていえばいいかしら、お預けを食らってる犬みたいなのよね。じっと残りのパンを見て時々許しを請うようにあたしの方を見て、微妙な上目遣いが可愛いかも。
暫くにらめっこをした後、
「キョン、お手」
気付けばあたしはそう言って手を差し出していた。普通ならここでキョンは怒るはずなのに条件反射だったのかしら、ぽん、とあたしの右手にキョンの右手が乗せられた。
「……」
「……? って! 何させるんだよ、ハルヒ!」
キョンは何が起こったのか分かってなかったみたい、けれど気付くと慌てて手を離した。ちょっと残念、握りそこなっちゃったわ、でもまあいいか、褒めてあげないとね。
「ぷっ! よく出来ました!」
あたしはそう言ってキョンの頭を撫でてからパンをひとつあげた、キョンはパンをもらえたっていうのに何だか不服そうな顔。でもしっかり食べるのね。
「……俺は犬なのか?」
「さっきの様子だと犬そっくりで可愛かったわよ」
「可愛いって……ちぇっ、まあいいや、サンキューハルヒ」
そう言ってキョンは笑ったんだけど、何よ、その顔は。なんかいつもキョンって顰め面ばっかりで、こんなのめったに見たことがなくて、もの凄く幼く見える。
「どうかしたか、ハルヒ? 顔が赤いが?」
「わっ、たっ、なんでもないわよ! あ! そのメロンパンはあたしのよ! 返しなさい!」
「えっイヤだ、これ結構うまいじゃないか」
「そうよ、おいしいから返してって言ってるの! あんたはあんぱんくらいでちょうどいいの!」
「なんだよそれ、せめて半分くらい……」
半分もあげるなんてもったいないわよ、せいぜい3分の1までね。もっとSOS団での功績を挙げるなら半分でも許してあげないこともないんだけど。
「3分の1か、まあいい、それにしても今日は珍しく優しいな、ハルヒ」
何よ珍しくって! って言うかあんた本当にキョンなの? 普段のあんたなら絶対そんなこと言わないじゃないの。
「む、たまにはいいだろ。それにしても満腹になったら眠たくなって来たな」
そう言ってキョンは寝そべった、あんたね、もうそろそろ授業が始まるのよ。と言いながらも気持ち良さそうに目を細めるキョンを見ていると、何だかあたしの瞼まで重くなってきたじゃないの。
ふぁ〜あ。
目が覚めたとき、寝すぎたせいで授業が終わりもう放課後になってしまっていた。
ちなみに隣にいたキョンはまだ気持ち良さそうに睡眠中。その間抜け面を見ているときに古泉くんたちがあたしたちを探しにやって来たのは参ったわね。
まったく、どれもこれもあいつのせいよ、このバカキョン!
ま、腕枕が気持ち良かったからお咎め無しにしてあげるわ。
またいつかしてもらおうって考えてるのは内緒ね。
―了―
この間昼間外に出たらほんの30分くらいだったのにばてました。
ちゃんと水分補給をしてたはずなのに…
これで夏本番はどうなるんだか、家に引きこもってそうですよ。
夏は嫌い、冬生まれだけど冬も嫌いだしね。
早く秋にならないかな(早すぎ
では続きより『餌付け』
そいつは朝、遅刻ギリギリで教室に飛び込んで、1限目の体育が終わった後からずっとあたしの前の席で死んだように机に伏せている。谷口たちが声を掛けていたけれど力なく答えるだけだった。
もしかして具合でも悪いのかしら? 体育のときももの凄く辛そうに、ふらふらしながら走ってたし。
あたしは何かあったのかと不安に思ってキョンに声を掛けようとした。けれどそのとき。
ぐるぐるぐる……
気が抜けるような腹の虫が鳴く音が聞こえた、後ろの席まではっきり聞こえるってどうなのよ、まったく。あたしはがっくりと項垂れさっきまで優しく声を掛けようとしていたのも忘れ、普段どおりに背中をつついた。
「……なんだ」
キョンはゆっくり振り返るとそう言った、けれど声に覇気が感じられない。元々キョンのやる気のある声なんかほとんど聞いたことがないけれど、今日のは一層ひどい。ついでに振り返ると同時にもう一度ぐー、と鳴った。
「ねえキョン、そんなにお腹が減ってるなら早くご飯食べたらどうなの? さっきからぐるぐるうるさいわよ」
もう昼休みに入っていて教室のそこここで友達とお弁当を広げている、あたしも早く学食に行かなきゃね。けれどキョンは少し顔を顰めると、
「俺だってそう思うさ、腹が減ったら飯を食う、シャミセンだって出来ることだ。けど俺にはそうできない理由があるんだよ」
額を机に擦りつけながら言うのだが、声がこもって聞き取りにくい。けれどその様子を見る限り思い当たるのはたった一つだ。
「ははん、どうせお弁当忘れたって言うんでしょ」
「……正解。ついでに言うなら寝坊したから朝飯抜き、さらに最悪なことに財布はあるのに中身は、確か13円だったかな?」
それにプラスしてあの坂を急いできて、体育の授業はマラソン。ついてない日はついてないことが続くものね、あたしはひとつため息をついて席を立った。
「そ、大変ね。でもせいぜい頑張って頂戴、あたしは学食行くから」
「なぁハルヒ、少しくらい恵んでくれよ。俺の財布がこんなに空なのは毎週お前らに奢ってるからなんだぞ」
「それはあんたが一番最後に来るから当たり前でしょ」
そう言うとキョンはじとっとあたしを睨みつけた、けれどそう見られてもそんなに怖くないわよ、だってキョンだもの。
「いくら睨んでもあげないものはあげないわよ、じゃね」
学食に来たものの、今日はなんだがあれを食べたい! って気にならないのよね。仕方なくパンをいくつか購入して買った、これだけあれば十分でしょってぐらいに買い込んで教室に戻る。どうせなら教室で死んでた奴にも少し恵んであげましょうかしら。
けれどさっきまで机にへばりついていた奴の姿がない、一体どこに行ったのかしら。ちょうど近くにいた谷口に聞いてみた。キョンがどこに行ったか知らない?
「キョン? あいつなら弁当がなくって腹鳴らしながら俺のを覗き込んでてさ、鬱陶しかったから追い払ったぞ」
「そしたら人のいないところにいくって言ってたかな? 行き先なら涼宮さんの方が分かるんじゃない?」
どうやら谷口にも国木田にも見捨てられたみたい、まあ一番最初に見捨てたのはあたしだけどさ。
いいわ、人のいないところ、ね。
中庭にはいないみたいで部室は有希がいる可能性が高い、となると屋上とかかしら?
そう考えるとあたしはすぐに屋上へと向かった、ちょっと急ぎ足になったのは気のせいね。
屋上へのドアを開けると風が吹いていて気持ちよかった、探してたそいつはあっさり見つかった、柵に持たれかかって寝ているみたい。相変わらずお腹はぐうぐうとひっきりなしに鳴いてるみたいだけど。
あたしはキョンの隣にしゃがみ込んで、ほっぺをつついたりつねったりしてみた。みくるちゃんのとかだったらよく触るけどキョンのはあんまりない。それにしても意外と柔らかいわね、男の人でもこんなに柔らかいものなのね。
さわさわと撫でているとぐー、とお腹を鳴らしながらキョンがあたしを睨むように見上げていた。寝ているところを邪魔したからかしら? それにしても
「あんたへばりすぎよ」
あたしが呆れたように言うとキョンはまたぐーっと音を立てて、ふて腐れたようにそっぽを向いた。
「しかたねぇだろ。どうせお前にこの苦しみがわかるわけねぇんだよ」
「分かりたくもないけどね」
「さっさと教室に戻れよ、俺は午後の授業はサボる、ここで寝るからな」
「サボるなんてそんなことあたしが許すと思う?」
「ふん」
ぐーっとまたお腹を鳴らしてキョンはまたそっぽを向いた。
やれやれ、ね。
あたしはキョンを無視してパンの袋を開けた。びりっとわりかし大きめな音がして、気が付くとキョンがじっとあたしを見ていた、けれどその表情はどこか厳しい。
「……お前は一体ここに何しに来たんだよ」
「ん? お昼を食べようかと思って」
「学食で食えばよかっただろ、パンなら教室でも――」
「もうひとつ、誰かさんに餌付けでもしようかなってね」
そう言ってまだ袋を開けていないパンをキョンの顔の前で軽く揺らしてキョンの上に落とした、一瞬ぽかんとしたあと分かりやすいほど表情が変わる。
けれど怪訝そうな表情はあたしを警戒してるみたい、何だか犬みたいね。
そうだ、今度のみくるちゃんのコスプレはネコミミね。ネコミミメイドとか萌えるでしょ。そんなことを考えてるとキョンが怪訝そうなまんまで聞いてきた。
「……くれるのか?」
「そうよ、いらないなら返してもらうけど」
そう言って奪い取ろうと手を伸ばしたけれど、すぐさまキョンはあたしが届かないように手を上げると慌てたようにかぶりついた。がつがつと呆れるくらい貪るようにして、すぐにひとつ目を食べ終えた。
「……呆れた、本当にお腹減ってたみたいね」
「そりゃな。ふー、多少マシになったよ、助かった」
「そ、良かったわね」
返事を返してあたしもひとつ目を食べるんだけど、横から突き刺さるキョンの視線が痛い。
チラッと見ると、なんていえばいいかしら、お預けを食らってる犬みたいなのよね。じっと残りのパンを見て時々許しを請うようにあたしの方を見て、微妙な上目遣いが可愛いかも。
暫くにらめっこをした後、
「キョン、お手」
気付けばあたしはそう言って手を差し出していた。普通ならここでキョンは怒るはずなのに条件反射だったのかしら、ぽん、とあたしの右手にキョンの右手が乗せられた。
「……」
「……? って! 何させるんだよ、ハルヒ!」
キョンは何が起こったのか分かってなかったみたい、けれど気付くと慌てて手を離した。ちょっと残念、握りそこなっちゃったわ、でもまあいいか、褒めてあげないとね。
「ぷっ! よく出来ました!」
あたしはそう言ってキョンの頭を撫でてからパンをひとつあげた、キョンはパンをもらえたっていうのに何だか不服そうな顔。でもしっかり食べるのね。
「……俺は犬なのか?」
「さっきの様子だと犬そっくりで可愛かったわよ」
「可愛いって……ちぇっ、まあいいや、サンキューハルヒ」
そう言ってキョンは笑ったんだけど、何よ、その顔は。なんかいつもキョンって顰め面ばっかりで、こんなのめったに見たことがなくて、もの凄く幼く見える。
「どうかしたか、ハルヒ? 顔が赤いが?」
「わっ、たっ、なんでもないわよ! あ! そのメロンパンはあたしのよ! 返しなさい!」
「えっイヤだ、これ結構うまいじゃないか」
「そうよ、おいしいから返してって言ってるの! あんたはあんぱんくらいでちょうどいいの!」
「なんだよそれ、せめて半分くらい……」
半分もあげるなんてもったいないわよ、せいぜい3分の1までね。もっとSOS団での功績を挙げるなら半分でも許してあげないこともないんだけど。
「3分の1か、まあいい、それにしても今日は珍しく優しいな、ハルヒ」
何よ珍しくって! って言うかあんた本当にキョンなの? 普段のあんたなら絶対そんなこと言わないじゃないの。
「む、たまにはいいだろ。それにしても満腹になったら眠たくなって来たな」
そう言ってキョンは寝そべった、あんたね、もうそろそろ授業が始まるのよ。と言いながらも気持ち良さそうに目を細めるキョンを見ていると、何だかあたしの瞼まで重くなってきたじゃないの。
ふぁ〜あ。
目が覚めたとき、寝すぎたせいで授業が終わりもう放課後になってしまっていた。
ちなみに隣にいたキョンはまだ気持ち良さそうに睡眠中。その間抜け面を見ているときに古泉くんたちがあたしたちを探しにやって来たのは参ったわね。
まったく、どれもこれもあいつのせいよ、このバカキョン!
ま、腕枕が気持ち良かったからお咎め無しにしてあげるわ。
またいつかしてもらおうって考えてるのは内緒ね。
―了―


